トライボロジー会議 2004春 東京
大会報告

実行委員長  日本精工株式会社 中 道治

 

 日本トライボロジー学会の第48期通常総会(平成15年度)および研究発表会を5月10日,11日,12日の3日間にわたって機械振興会館で開催致しました.会議における研究発表件数は約190件と前回より約30件増加し,参加者も約570名となりました.参加者数は,春の会議としては最近の10年間で最も多く,大変盛況な会議となりました.以下に本会議の内容を報告致します.

研究発表会 シンポジウムセッションは,例年よりも1件多い3件となり,約250名の参加者がありました.「ナノトライボロジーの展開」「摩耗:問題点と次世代の課題:摩耗は科学となり得るか」「“超”を目指す軸受技術」が取り上げられ,それぞれ初日および最終日の朝から夕刻まで熱気を帯びた発表および討論がなされました.技術賞受賞講演を含む一般講演は18項目37セッションで行われ,セッション当りの平均参加者数は50名を越えていました. 
イブニングフォーラム 定例となった初日の夜に,「温故知新」と題して,21世紀におけるトライボロジー分野の発展やトライボロジー技術者の確保や育成をいかに実現するかという観点から,各界でご活躍の経験豊富な4名の方から,トライボロジーについて日頃お感じになっていることや考えられていることについて自由に話題提供をして頂きました.学術的に偏らず,参加者と講師の方々とが自由に意見交換できる場を提供しようと企画したものです.参加者は100名を越え,会場からは,熱心な質疑・意見があり,終了予定時刻の19:30を1時間も超過する活況ぶりでした.
通常総会 第2日目の午後には,総会成立に必要な定足数を満たす参加者および委任状提出者の下で,第48期通常総会が開催され,平成15年度の事業報告,収支決算,および平成16年度の事業計画,予算案が承認されました.また第49期理事候補者の全員当選が報告され,兼田宏氏が会長に選出されました.引き続いて,田中会長からの香川大学学長木村好次氏のゴールドメダル受賞の紹介,功績賞3名,論文賞2件,技術賞4件および奨励賞6名の表彰式が行なわれ,総会は無事終了致しました.
講演会 総会終了後に,論文賞受賞の八木和行氏「EHL下における両すべり面の温度計測および油膜内温度分布の推定」と山本建氏「トロイダルCVTのパワーローラ軸受に関する研究」の講演が行なわれました.さらに特別講演では,東京大学工学部教授下山勲氏と工学院大学学長三浦宏文氏に,「Nano-On-Micro」「ロボット・昆虫・マイクロマシン」というテーマでそれぞれ50分ずつご講演を頂きました.三浦,下山先生は,東京大学時代の師弟関係にあり,ロボット研究のわが国における先駆け,権威であり,懐かしい昔話を交えながらの楽しいご講演でした.両先生の幅広い知識および物の見方に感銘を受ける講演で,会場はほぼ満席状態でした.
懇親会 第2日目の夕刻から開催された懇親会には,名誉会員,各賞受賞者を含む約120名が参加し,和やかな懇談を通じての活発な情報交換が行なわれました.田中前会長,兼田新会長及び香川大学学長木村好次氏のゴールドメダル受賞についてのご挨拶が行われました.今年秋開催のトライボロジー会議2004秋鳥取(11月10,11,12日)の紹介では,福井実行委員長から多彩なイベントなどが披露され,会場では早くも秋の大会への期待が高まっていました.また来年春開催の国際トライボロジー会議・2005神戸(5月29日6月2日)の紹介では,大前実行委員長からのメッセージが披露されました.
企業技術,製品PRコーナー 今年も昨年同様,多数の企業から参加の申し込みを頂き(製品展示25社,カタログ展示10社),展示会場が満杯の状態になりました.展示ブースの配置,展示方法,パソコンの導入など,出展企業の要望に広く応えられるように工夫を凝らし,ご出展いただいた企業の方々には満足いただけたものと確信致しております.
運営: 学会ホームページを十分に活用し,各種会告,講演申し込み,参加申し込みなど,IT利用の定着を図ることができました.また,従来はOHPを基本とした講演でしたが,今回は全ての会場に電子プロジェクタを用意し,多くの方々に活用いただきました.参加者に見易いプレゼンテーションが多くなったと思われます.

 最後に,本会議の企画段階から終了までの1年間にわたり,様々な業務をご担当,ご尽力いただきました実行委員の方々,ホームページ掲載にご協力いただいた方々,運営委員会,学会事務局の方々,予稿集およびPRコーナーにご出展いただきました各社および法人に深く感謝申し上げます. 
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--> Last modified: May 28, 2004

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