トライボロジー会議 2004春 東京

シンポジウムセッション

 
本学会の研究活動は極めて活発であり, トライボロジー会議における発表内容も充実してきております. 会員の自由な発想に基づく研究が重要であり, 本学会がより積極的に社会に貢献するには, タイムリーな重要研究課題に対して, 会員の研究のパワーを集中することが望ましいと考えられます. このような観点から, 本学会では年度毎に「重点研究課題」を選定し, 春のトライボロジー会議にその課題のシンポジウムセッションを設けております. 今年度は第13回として「ナノトライボロジーの展開」 「摩耗:―問題点と次世代の課題,摩耗は科学になり得るか―」 「“超”を目指す軸受技術」を重点研究課題に選定し, シンポジウムを開催します.
  1. ナノトライボロジーの展開 ―情報機械技術・バイオ操作技術への可能性を探る―(分類番号20)
    オーガナイザー:
    三矢 保永(名古屋大学大学院工学研究科)
    〒464-8603 名古屋市千種区不老町 TEL:052-789-2784/FAX:052-789-3129
    E-mail: mitsuya@nuem.nagoya-u.ac.jp
    加藤 孝久(産業技術総合研究所機械システム研究部門)
    〒305-8564 茨城県つくば市並木1-2 TEL:0298-61-7165/FAX:0298-61-7091
    E-mail: kato.t@aist.go.jp

    米国における2000年年頭のナノイニシアティブ政策の打ち上げにより, ナノテクノロジーが次世代の基盤技術と位置づけられ, 情報技術,バイオ技術,環境技術を牽引する重点施策に組み込まれて 3年が経過しました. この間に単なる用語の認知度の向上のみならず, いくつかの現実性のある成果が見え始めつつあります. ナノテクノロジーは,材料やエレクトロニクスの分野で先行していましたが, 実用化が視野に入り始めるにしたがって, 機械工学の分野における重要性が高まっています. 機械の特徴は相対運動にあり,マイクロナノ領域においては, 相対運動の特性に量子化(離散値)の効果が顕在化するようになります. すなわち, 従来の平均化された連続体としての特性やその外挿的な特性とは異なるばかりでなく, 個々の分子の位置や動きを同定したトライボロジー特性が, 機能・性能を支配するようになります. ここにマイクロを越えたナノトライボロジーの存在意義があると思います. 本シンポジウムでは, 個々の分子の位置と動きが相対運動の機能と性能を支配するようになっている 情報機械技術・ナノバイオ操作分野における研究を展望するとともに, 最新の研究成果について発表と討論を行い,情報交換の場を提供しますので, 奮ってご参加くださいますようお願いいたします.

  2. 摩耗:―問題点と次世代の課題,摩耗は科学になり得るか―(分類番号21)
    オーガナイザー:
    三科博司(千葉大学工学部電子機械工学科)
    〒263-8522 千葉市稲毛区弥生町1-33 TEL&FAX:043-290-3190
    E-mail: mishina@faculty.chiba-u.jp
    平塚健一(千葉工業大学工学部機械サイエンス学科)
    〒275-8588 千葉県習志野市津田沼2-17-1 TEL:047-478-0503 FAX: 047-478-0529
    E-mail: hiratsuka@pf.it-chiba.ac.jp

    「摩耗」の研究に近代科学のメスが入って半世紀をこえます. “「摩耗」はどこまでわかってきたのか”, また,“これからどのような研究を必要としているのか”, こういった疑問を本会第3種「摩耗研究会」で議論してきました. 摩耗現象は機械的作用にのみ依存するのではなく, 物理的あるいは化学的作用にも深く関わるため広範囲な基礎知識が必要となります. 本シンポジウムセッションにおいて研究会の枠を越え て学会員の皆様と意見を交えて広く議論する場をもちたいと存じます.
    前回の2003春東京では,20世紀に解決することのできなかった難解なテーマ, 「マイルド摩耗とは何なのか」という問題を主題において シンポジウムを開催いたしました. それに引き続いて,2004春東京におきましては, 次世代を見据えたテーマとして,「摩耗は科学になり得るか」を主題に, “摩耗の基礎現象とは何か”,“摩耗を支配する因子とは何か”, そして,“摩耗に科学のメスはどのように入り得るのか”, “これからの摩耗研究の行方は”, などの幅広いテーマについて本シンポジウムの場で学会員の皆様と意見 を交換し議論したいと存じます. 積極的な参加をお願いいたします.

  3. “超”を目指す軸受技術(分類番号22)
    オーガナイザー:
    森 淳暢(関西大学工学部機械システム工学科)
    〒564-8680 大阪府吹田市山手町3-3-35 TEL: 06-6368-0946/FAX: 06-6388-8785
    E-mail: moriatsu@ipcku.kansai-u.ac.jp
    平山朋子(龍谷大学理工学部機械システム工学科
    〒520-2194 滋賀県大津市瀬田大江町横谷1-5 TEL:077-543-7504/FAX:077-543-7457
    E-mail: tomoko@rins.ryukoku.ac.jp

    長年にわたって 我が国の気体軸受技術の発展に寄与してきた「気体軸受研究会」を 発展的に引継いだ第3種研究会「“超”を目指す軸受技術研究会」は, 対象を気体軸受から流体軸受,転がり軸受, 磁気軸受などあらゆる形式の軸受に広げ, 諸特性の“超”を目指す技術にチャレンジしています. 今,各分野で月並みの技術から“超”の付く技術への変革が求められていますが, 軸受技術の分野でこれに応えようというものです. 今の時期,軸受技術に携わる研究者,技術者がそのジャンルを越えて一堂に会し, おのおのの“超”を語り合うことは非常に有意義であると考え, 2003春東京に引き続き,シンポジウムセッションを設けることにいたしました. 2004春東京は少し趣を変えて, 流体軸受,気体軸受,転がり軸受,磁気軸受,無潤滑軸受の5分野で ご活躍の方々から, 各分野での技術の改良・改善,新技術の開発・研究の動向を “超”を意識した観点からレビューいただき, 参加者の方々からは,最近のご経験をショートノートの形でご紹介いただいて, 今後の進展の方向性・可能性を論じ合ってみたいと思います. 機能・性能面の“超”のみならず, 形状・寸法面の“超”やコスト面の“超”等々も考えられます. まとまった形でなくても結構ですので, 奮ってご参加くださいますようお願いいたします.


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--> Last modified: Mar. 9 2003

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