「トライボロジー会議 2005 秋 東京」では,一般講演による通常のセッションのほかに下記の3つのテーマについてシンポジウムセッションを設け,講演を募ることに致しました.趣旨をご理解の上,ふるってご応募・ご参加下さいますようお願い致します.
なお,これらのシンポジウムセッションにおける講演は,一般講演とは異なり必ずしもオリジナルに限定せず,整理された2次情報も受け付けます.講演の申込は,トライボロジスト2005年5月号ならびに6月号に掲載の「トライボロジー会議 2005 秋 東京」の講演申込要領にそっておこなって下さい.
テーマ(1) 生物における水和潤滑 (分類番号20)
オーガナイザー:
池内 健 京都大学再生医科学研究所
〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町53
Tel
& Fax: 075-751-4139
E-mail: ikeuchi@frontier.kyoto-u.ac.jp
村上輝夫 九州大学工学研究院知能機械システム部門
〒812-8581 福岡市東区箱崎6-10-1
TEL: 092-642-3440 FAX: 092-641-9744
E-mail: tmura@mech.kyushu-u.ac.jp
馬渕清資 北里大学医療衛生学部
〒228-8555 神奈川県相模原市北里1-15-1
TEL
& FAX: 042-778-9651
E-mail: km@kitasato-u.ac.jp
水は他の物質を強力にイオン化し溶解する特異な物質であり,体内の糖質やタンパク類は水和によってはじめて機能を発揮します.地球は水の惑星と呼ばれていますが,私たち生命体が存在できるのは地球上に存在する多量の水のおかげなのです.
魚の表面や消化管と血管の内壁など動物の体には多くの水和層が存在して潤滑を行っています.とりわけ関節における水和潤滑の役割は重要です.関節液にはヒアルロン酸やタンパクが水和・溶解しており,水との強い相互作用が関節液に特異なレオロジー特性と高い潤滑性を与えています.関節軟骨においてはプロテオグリカンに生じる膨潤圧力のために軟骨が柔軟性を保ちつつ大きな荷重支持能力と高度な潤滑作用が生じます.また軟骨の表面層は水や関節液成分と作用して関節の潤滑に重要な役割を果たしています.
本シンポジウムでは,生物の水潤滑に関係する広い範囲の研究を対象にしていますので,物理,化学,生物など多様な立場から率直な議論をお願いしたいと思います.従来,個別のモデルについて研究されてきた潤滑機構を「水和」というキーワードで見直すことによって水潤滑に共通の潤滑原理が明らかになり,バイオトライボロジーに新しい分野が開かれるとともに産業に応用できるのではないでしょうか.
テーマ(2) 塑性加工のトライボロジー (分類番号21)
オーガナイザー:
小豆島 明 横浜国立大学大学院工学研究院
〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-5
TEL:
045-339-3861 FAX: 045-331-6593
E-mail: azu@ynu.ac.jp
広中清一郎 東京都立科学技術大学工学部
〒191-0065 東京都日野市旭ヶ丘6-6
TEL: 042-585-8647 FAX: 042-585-8647
E-mail: shirona@cc.tmit.ac.jp
塑性加工とは,金属材料の形状を容易に変えることができる性質(塑性)を利用して,目的の形状に工具を用いて加工する方法です.この塑性加工には,圧延,引抜き,押出し,鍛造,板成形などの加工があり,いずれの加工においても潤滑油が,(1)加工力の低減,(2)冷却,(3)製品表面品位の改善,(4)焼付きや表面損傷の防止および(5)工具摩耗の抑制などの理由により使用されています.これらの塑性加工における潤滑にかかわる要請事項を満足させるために,これまで多くのトライボロジー対策に関する研究が成され,大きな成果を上げてきました.
最近の塑性加工の分野においても従来型発展から革新的なブレークスルーによる発展が試みられ,トライボロジー技術の貢献によって大きな成果をあげています.
本シンポジウムにおいては,最近のトライボロジー技術による革新的なブレークスルーの開発事例および環境問題に対するトライボロジー技術について発表していただき討論を進めたいと考えます.
テーマ(3) 転がり接触と疲れ (分類番号22)
オーガナイザー:
山本隆司 東京農工大学大学院共生科学技術研究部
〒184-8588 東京都小金井市中町2-24-16
TEL:
042-388-7084 FAX: 042-385-7204
E-mail:
tyama@cc.tuat.ac.jp
吉岡武雄 明治大学理工学部機械情報工学科
〒214-8571 川崎市多摩区東三田1-1-1
TEL:
044-934-7236 FAX: 044-934-7907
E-mail: tyoshi@isc.meiji.ac.jp
佐田 隆 光洋精工(株)総合技術研究所
〒582-8588 大阪府柏原市国分東条町24-1
TEL: 0729-78-5016 FAX: 0729-77-7675
E-mail:
takashi_sada@koyo-seiko.co.jp
回転機構を有する機械装置には,転がり接触を伴う機械要素が多く用いられています.転がり接触における摩耗や初期の損傷は潤滑技術や表面改質などによって抑制されていますが,転がり疲れについては,機械要素にとって致命的な破損を導く重大な問題であるにもかかわらず,その発生機構も完全には解明されていない状況です.ひとことで転がり疲れと言っても,最終的な破損の形態はフレーキング,ピッチング,スポーリング,シェリングなど機械要素によって異なり,それに伴って研究のアプローチにも違いが見られます.本シンポジウムでは,転がり疲れに関する現象の解明,影響因子の把握,寿命計算の進展,長寿命化方策,寿命予知技術などについて,種々の分野でご活躍の研究者,技術者の方々から講演をいただき,各分野の研究で得られた知見を共有することによって,転がり疲れ問題の解決に向けて相乗効果が生まれることを期待します.
また本シンポジウムでは,転がり疲れを取扱う上で欠くことのできない接触,特に線接触の問題についても取り上げます.円筒面あるいは円すい面同士の接触は一般に線接触と呼ばれており,大きな負荷能力を必要とする機械要素に適用されています.この線接触においては,不適切な設計や実用時のミスアライメントに起因した接触端部での応力集中に伴う寿命低下が特に問題になります.対策として,応力分布を均一化するためにクラウニングなどによる接触面の母線形状の修正が行なわれてきましたが,それらは経験と推測による対症療法的なものでした.最近では理論解析にもとづく適切な母線形状の設計が試みられるようになりましたが,未だ普遍的な解決には至っていないのが現状です.そこで今回,線接触に関係し,または関心をお持ちの方々に問題点や経験などを持ち寄っていただき,活発な意見交換によって問題を共有し,新たな研究分野への入口と方向を見いだしたいと考えます.
--> Last modified: May 12, 2005
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