トライボロジー会議 2009春 東京

特別フォーラム

 

テーマ 「レアメタルパニック - 最新動向と将来戦略 -」
  技術立国である日本の活発な産業活動は,膨大な工業資源の消費により支えられています. しかしながら,その多くを海外に依存しています.近年では,IT産業を支える電子部品や, 地球環境負荷軽減のための省エネルギー機器,触媒,ハイブリッド車や電気自動車用の高性能モーターなど, レアメタルが生み出す新しい技術が益々拡大しています. また,BRICsと呼ばれる経済新興国の急速な経済の拡大によりレアメタルの需給に問題が発生し, 資源ナショナリズムも加わり価格が高騰するなど,これら資源の安定した持続性の危機に直面しました. このような資源リスクに対して,地球規模での探鉱開発や資源外交,解体してレアメタルを抽出するリサイクル技術, 希少金属に代わる代替元素の開発,供給障害に備えるための資源備蓄が国家レベルで進められています. トライボロジー学会においても,このような資源環境の急速な変化は,材料価格の問題のみならず, 供給不足により技術開発にも影響を及ぼす重大な問題です. そこで,本フォーラムではレアメタルの安定供給を目指し,世界中を奔走される希少金属の専門商社殿,及び物質・材料研究機構殿に, 現在の資源の動向や日本が取るべき戦略,及び資源リサイクルや代替材料についてお話を伺い, 工業資源の現状と将来を多面的に知る機会といたします.ご講演の後,皆様からの活発なご討論・ご質疑応答を展開したいと思います.

総合司会 三原 雄司 氏 (武蔵工業大学)
話題提供 (1) 演題:「レアメタルの市場動向と将来戦略」(講演45分)
講演者:中村 繁夫 氏
アドバンストマテリアルジャパン株式会社
代表取締役社長 
概要:
  世界同時金融危機の今こそレアメタル戦略を明確にする時です. 5年間続いてきた「レアメタルパニック」も景気後退から急落局面に入りましたが, 資源の枯渇や人口爆発による需要の増大,デジタル革命,資源ナショナリズムなどは地球規模の長期的な問題です. 海外のレアメタル資源の採掘権の確保は今がチャンスです. 元素戦略による国家備蓄についても資源貧国日本にとって市況が緩んだ今こそ手当てする事が「転ばぬ先の杖」になります.


(2) 演題:「レアメタル代替材料の開発と元素戦略」(講演45分)
講演者:原田 幸明 氏
独立行政法人 物質・材料研究機構
材料ラボ長&クラスター長
概要:
  先行資本主義国のカジノ経済の崩壊はともかくとしても,BRICs諸国などの成長に伴う需要の増大は基底として流れており, 2050年まででも多くの金属の消費量は現用埋蔵量を超えると予想されます. それに情報や環境エネルギー技術の高度化にともなう新規物質への需要が重なり, このような中でわが国は世界に良質の工業素材(Engineering Material)を供給していく役割を担っていくことになります. これらの良質な工業素材を資源制約の中でつくっていくために長期的視点から資源の「減量」「代替」「循環」を目指す「元素戦略」研究が進められています. 特に「代替」は,これまでの「元素の組み合わせで機能を発揮させる」という視点から 「特定の元素にこだわらずナノ構造で機能を現出させる」という材料設計の転換を目指した"ナノ・アルケミー"とでも呼ぶべきアプローチが目指されています.


(3) 総合討論・質疑応答 (20分)
開催日時 2009年5月19日(火) 15:10〜17:00
会場 国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟セミナーホール417号室
定員 300名程度
参加費 無料.非会員の方の聴講も歓迎します.
問合せ先  「トライボロジー会議 2009 春 東京(代々木)」実行委員会 特別フォーラム担当
三原 雄司 (武蔵工業大学,2009年4月より東京都市大学に校名変更予定)
TEL:03-5707-2100 (2569, 2550) E-mail:ymihara@sc.musashi-tech.ac.jp(@を半角に変換してください)

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--> Last modified: Jan. 8, 2009

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