会長メッセージ

一般社団法人日本トライボロジー学会 第68期会長

梅原 徳次(名古屋大学)

 第68期会長就任にあたり,ご挨拶申し上げます.

 第67期は,3年間に及んだコロナ禍からの回復過程にあり,学会という社会活動において対面での交流が制限され,学会活動が不活発になるという非常事態からの回復の1年でありました.この期間,牧野前会長のリーダーシップのもと,「会員サービスの充実による会員メリットの向上」,「世界における日本のトライボロジーのプレゼンス向上」,「学会運営の効率化と財政の健全化」の3つの方針にそって学会運営が活発に行われました.この度後任を務めさせていただくこととなり,身の引き締まる思いであります.

 さて,当学会は1956年に設立してから67年がたちます.その期間,当学会では,まずは,右肩上がりの経済成長の元,当学会員も増加し,学会活動も当会の設立目的である「トライボロジーに関する学術及び科学技術を振興する事業を行い,もって,トライボロジーに関する理論の進歩及び技術の向上に寄与する事」を実践して参りました.しかし,2000年代に入り経済成長も陰りを見せ,会員数も右肩上がりとはならなくなりました.

 このような学会員の増加が止まったことは,当学会だけではなく,工学関連の他学会においても共通して起きています.このような状況はすぐには解消されるものではなく,状況を直視し,長期的な視点に立つ,現在の学会員への真のサービスとは何かを再度深く考え,理事会,委員会,事務局一丸となって運営にあたっていきたいと考えています.

 例えば,現在企業において,中堅の技術者,研究者の会員数が伸び悩んでいます.実際の企業での設計生産分野で役に立つ高度なレベルの講習会や研究会などの活性化が必要と思います.他にも各階層における有効な学会活動を必要度に応じて企画実施することが必要と考えます.

 また,日本のトライボロジーのプレゼンスですが,企業や研究者などの優れた研究成果の情報を国際的に多く発信することにより高められます.学会の英文誌のTRIBOLOGY ONLINEだけでなく,昨年度から始められたインターネットのウエビナーによる発信などを更に有効とすることも重要と考えます.

 さらに,学会運営の効率化と財政の健全化ですが,必要度に応じた財政と連動した適切な事業を行うことが重要と考えます.

 最後に,トライボロジーは学際的な技術分野であり,社会がどのように変わろうとも,変わった新しい社会のために力が発揮されます.そのため,現状の持続型社会実現のための激動の時代はトライボロジーにおいて大きなチャンスととらえています.

 会員各位におかれましては,今後とも大きな魅力的なチャンスを提供できる魅力ある学会活動を企画いたしますので,積極的に当会の諸活動にご参加いただき,ご指導ご鞭撻賜りたく,心よりお願い申し上げます.
 

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