会長メッセージ

一般社団法人日本トライボロジー学会 第63期会長

若林 利明 (香川大学)

 第63期会長就任にあたり,ご挨拶申し上げます.

 当学会の一員に加わって以来,さまざまな活動の場で,歴代会長をはじめとする諸先輩方のご苦心,ご尽力を拝見し,その多大な貢献と功績を実感してまいりました.そうした体験から小職は,自らが会長の重責を担うことができるのか不安を覚えたことも事実です.一方で,この1年間,副会長として中村前会長を支えながら,理事会の皆さまとともに,山積する問題と向き合って議論を重ね,学会運営に携わるという経験を積むことができました.その経験は大きな糧となっており,不安を払拭したとは言い切れませんが,少しでも会長の責務を果たそうと,思いを新たにしたところです.

 さて,ここで,最近の会長就任のご挨拶を振り返りますと,常に以下の三つが共通する大きな課題だったのではないでしょうか.
(1) 会員サービスの向上によって,JASTメンバーであることのメリットをいかに享受していただくか.
(2) 世界のトライボロジー分野における日本の存在感と影響力,いわゆるプレゼンスをどう高めるか.
(3) 学会運営の効率化と財政の健全化をどのように果たしていくか.
理事会では,これらの課題に対して,正解には至らないまでも,現時点での最適解を導こうと,いろいろな施策を立て,実施してまいりました.また,それらが先の総会でご説明したとおり,第62期の事業報告で示した形のように結実し,第63期事業計画へと受け継がれています.

 たとえば,会員メリットの点では,非会員向けアンケートによるニーズの洗い出しとその対応方針の策定,トライボ人材育成の強化を図るべく教育講習内容の見直しなどに着手し,本年度はいよいよ実行に移す段階を迎えます.日本のプレゼンスを高める方策としては,従来から各国トライボロジー学会との交流を深めてきており,今般,とくに米国STLEとは,互いの協力関係を一層強固にする目的で連携協定を締結しようという動きが進んでいます.そして,会誌出版費の削減を端緒にした学会財政の健全化も功を奏し,それが成果となって学会運営の効率化にも波及しつつあります.

 これらは,ここ数年の取組みの一部を紹介しただけですが,こうした積極的な活動は,代々の会長が残された実績を踏まえた上で,中野第61期会長が音頭をとって作成した各委員会の「課題解決計画」によって必要性が具現化したものです.それを中村前会長が引き継ぎ,いわゆるPDCAを回すことで推進してきたわけですが,その実現には,各委員会を担当する理事や委員会メンバーの方々の並々ならぬ努力が不可欠だったことは言うまでもありません.

 では,当学会はこれで順風満帆か,と問われますと,そのような楽観的な現状にはないというのが皆さまの正しい認識でしょう.小職もまったく同感で,学会事業の継続性を担保するためには,このところ会員数がやや増加基調にあるとはいえ,会員増強は今後も手綱を緩めることのできない難題です.その解決策としてのサービス向上は上記のとおりもちろん大切ですが,もう一つ忘れてはならないのは,脈々とした人と人とのつながりを構築するための場を提供する,その役目を学会が標榜することです.各種研究会や講習会,会誌やTribology Online,あるいはトライボロジー会議やITCなどの情報をJAST内外へ広く発信するのは当然として,言い古されたことかも知れませんが,そこに「トライボロジー学会のイベントへ出かけると,こんな専門家に出会えて,機械の困りごとを相談できますよ」といった人的ネットワークづくりに役立つ仕掛けを工夫して,それを地道に周知宣伝するよう知恵を絞る,そうした手立てが会員増強にもつながるはずと改めて確信する次第です.

 以上,雑ぱくなご挨拶となり恐縮ながら,第63期会長として,理事会役員と手を携え,各種委員会メンバーや学会事務局のご協力も得て,学会運営に邁進する所存です.最後になりましたが,会員の皆さまには,是非ともご支援,ご鞭撻を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます.
 

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