会長メッセージ

社団法人 日本トライボロジー学会
第56期会長  熊田 喜生

 

  去る524日の通常総会において,第56期会長に選任されました熊田です.就任にあたり現在の思いを述べ,ご挨拶とさせていただきます.

  まずはじめに,東日本大震災によってお亡くなりになった方々を心からお悔やみし,被災された方々,原子力発電所の事故により不自由な生活をされている方々に,お見舞いを申し上げます.

私は昭和50年に,企業の技術者として本会に入会させていただきました.その後35年の間,入門講座に始まり,夏季セミナー,各種研究会,春・秋のトライボロジー会議,5年ごとに開催されたITC,最近ではWTC IVなどに参加することによって,トライボロジーの基礎・考え方を学び,最新情報を入手し,恩師を得,友を得るなど,会員としての恩恵に浴してきましたが,会長に推挙されるなどとは思いもしませんでした.しかしながら,この度前任の理事の方々からの強いご推挙があり,それなら,と恩返しの意味も含め,開き直って重責を担おうと前向きに考えるに到りました.

幸にしてこれまでの1年間,第55期の森会長のリーダーシップのもと,岩井副会長とともに副会長として学会運営に携わる機会を得,この間に,学会がどのような課題を抱えているのか,ある程度つかめてまいりました.以下に,学会が本来なすべき役割,その役割を達成するための基盤に関わる課題について,考えている事を述べさせていただきます.

 



 まず第1に,2009年に開催されたWTC IVで大きく盛り上がったトライボロジーのプレゼンスを,持続的にどう高めていくかを考え,議論していく必要があります.幸いにして,昨年秋,今年春のトライボロジー会議を通じ,発表件数,参加人数ともに増加傾向にあります.また,研究会活動は第1種,第3種でそれぞれ新研究会が発足し,ますます活発化していくと予想されます.しかしその一方で,当会の会員数の減少に歯止めがかからないという状況があります.

 東日本大震災による日本の経済的な打撃は非常に大きく,この記事が皆様の目にふれる頃でも,完全復旧とまではいっていないのではないでしょうか.原子力発電所の事故で,ますます重要となるエネルギー消費の抑制も喫緊の課題となってまいりました.そんな中,トライボロジーはどれだけの役割を果たすことができるのでしょうか.第41期の木村会長のご挨拶文中に,「工学は“不可能を可能にする科学”であり,このような現状を打開するのもまた工学の使命です.」とのお言葉がありますが,摩擦低減などの観点から研究会などで地道かつ持続的な活動を続けていきたい.そして,社会に寄与していきたい.学会としてそれらの活動をどう盛り上げ,引張っていくか.また,会員数の減少にどう歯止めをかけるか,議論を重ねて方向を定めたいと考えています.


 大学を始めとする研究者の場合,その高い研究成果を日本のみにとどまらず,広く海外の研究者にも知ってもらうために,英語による論文発表は必須となっています.一方,日本の技術者・研究者への情報提供という意味での,日本語の学会誌「トライボロジスト」への論文発表も欠かせません.総会の席で益子副会長から熱い訴えがありましたが,現在日本トライボロジー学会の唯一の英文論文発表媒体であるオンラインジャーナルの充実は,非常に重要になっていると考えています.



 国際化の点からは,今年秋にITC Hiroshima 2011の開催が予定されており,今のところ発表予定の件数は従来と比較しても多いほうだと聞いています.また,第54期の町田会長を中心に昨年より始められた日中アドバンストフォーラムは,今年の中国洛陽に続き,来年4月に名古屋にて開催する予定となっています.その他,国内の会議での国際フォーラムも軌道に乗っているようで,これらを着実に実行してまいります.



 基盤の課題の一つとして,公益法人制度改革への対応があり,本会は一般法人への移行を選択いたしました.この案件は第53期の山本会長から町田会長,森会長へと引き継がれ,今年で4年目になる大仕事です.これまで多くの方が議論し努力してこられましたが,仕上げの年として着実に推進してまいりたいと考えています.



 事務局体制については,第55期森会長のリーダーシップで人事,IT化ともに大きな進展を見ました.この件も,第55期に固められた方針を軌道に載せるとともに,IT化の実行など残された課題についての取り組みを実行してまいります.

 

このように課題は山積していますが,益子副会長,多川副会長ならびに理事の皆様,事務局の皆様と協力して,本会の運営に尽力する所存です.会員各位のご支援を,心からお願い申し上げます.




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