シンポジウムセッション

シンポジウムセッション

「トライボロジー会議2023 春 東京」では,一般講演による通常のセッションのほかに,複数のテーマについてシンポジウムセッションを設け,講演を募ります.下記の各シンポジウムの趣旨をご理解いただき,ふるってご応募・ご参加ください.なお,これらのシンポジウムセッションにおける講演は,一般講演とは異なり,必ずしもオリジナル講演に限定せず,整理された2次情報に基づく講演も受け付けます.講演の申込は,会誌トライボロジストならびに本会ホームページの「トライボロジー会議2023春 東京」の講演申込要領に沿って行ってください.また,オーガナイザーより講演を依頼された本会非会員の方は,オーガナイザーの指示に従って講演の申込を行ってください.

テーマ(1) “超”を目指す軸受技術の最前線(分類番号 S1)

オーガナイザー
平山 朋子  京都大学
野間 正泰  舞鶴工業高等専門学校

 機器の更なる性能向上を目指す上で,軸受技術の進歩は欠かすことができない.本シンポジウムでは,『“超”を目指す軸受技術研究会』での話題を中心に,軸受に関わる基盤技術とすべり軸受および転がり軸受の最新動向に関して話題提供いただくことで,近年の軸受技術を包括的に俯瞰する場の提供を目指す.現在の軸受技術のボトルネックはどのような点にあるのか,また更なる性能向上を目指す上での最適設計指針はどのように考えたら良いのかなど,さまざまな立場からの意見交換を通じて今一度軸受技術を見直すとともに,ニーズ/シーズの両面から今後の展望を討論する機会となることを期待する.

テーマ(2) 表面テクスチャによるトライボロジー特性制御の最近の成果と今後の展開(分類番号 S2)

オーガナイザー
佐々木 信也  東京理科大学 
足立  幸志  東北大学
是永   敦  産業技術総合研究所

 表面に適当な粗さやテクスチャリングを施すことにより,トライボロジー特性を改善することができることは,すでに実用上の経験から広く知られている.また,表面テクスチャに関する基礎研究や技術開発も,この 20 年間に大きく進展した.しかしながら,最適な表面テクスチャを理論的に導くことは依然として難しいのが現状である.表面テクスチャをトライボロジー特性向上技術として発展させるためには,実験と数値解析の両面より研究を深化させる必要がある.また,複雑系であることから AI を活用する MI が一つの解決法としても期待される.本シンポジウムでは,最近の研究成果を
集め,今後の展開について議論を深めて行く場を提供する.

テーマ(3)水素が関わるトライボロジーの諸現象(分類番号 S3)

オーガナイザー
杉村 丈一  九州大学
澤江 義則  九州大学
中嶋 和弘  東洋大学
角銅 洋実  宇宙航空研究開発機構 JAXA

 脱炭素化に向けて水素への期待が高まり,水素環境下のトライボロジー問題への取組みが急務となっています.水素を扱う機器の性能と安全性を向上させるためには,水素の働きに関する基礎知見に基づいたトライボ設計が必要不可欠です.一方水素は,環境因子としてだけではなく,トライボロジーのさまざまな場面で諸反応に関与し,水素が生成されることもあり,それらに関する知見から学ぶことも重要です.本シンポジウムでは,水素利用におけるさまざまなトライボロジーの課題への取組みとともに,広く水素が関わる研究についてご講演いただき,水素が関わる諸現象をさまざまな視点から議論します.

テーマ(4) 自動車用動力伝達系のトライボロジー(分類番号 S4)

オーガナイザー
村木 一雄  日産自動車株式会社
猪上 佳子  ジヤトコ株式会社
服部 大輝  アフトンケミカル・ジャパン株式会社

 車の電動化がもたらす 100 年に一度と言われる自動車の大変革期にあってもトライボロジー研究,技術開発の目的は摩耗,焼付き,疲労による機器の損傷を防ぎ摩擦の調節によって車の駆動力の利用効率を最大限に引き上げることにある.電動化によって動力伝達系の構成が変わっても接触する表面を有する機械要素におけるトライボロジー技術の一つ一つの積み上げが自動車の信頼性と省燃費性能を左右することに変わりはない.本シンポジウムでは自動車の電動化を支える動力伝達系の潤滑 / 冷却機構,機械要素に焦点をあて,電動化によってもたらされたトライボロジー技術への新たな要求,課題,解決への取組みについて論議したい.

テーマ(5) 自動車用エンジン油最前線 -自動車の低燃費,カーボンニュートラルに向けた潤滑油の貢献-(分類番号 S5)

オーガナイザー
益子 正文  添加剤技術研究会
内藤 康司  添加剤技術研究会
久保 浩一  添加剤技術研究会

 カーボンニュートラルへの対応として自動車には一層の低燃費,電動化,燃料の多様化が求められていく.燃費向上に向けてエンジン油では,低粘度化や超高粘度指数化および FM の最適化が実施,検討されている.また,燃料の多様化に関しては,水素,メタンなどのガス燃料やメタノール,エタノールなどの含酸素燃料を利用するエンジンの普及も進む可能性があり,それらに適したエンジン油も求められるかもしれない.さらに,潤滑油全体では再生可能原料由来の基油や使用済み潤滑油からの再生基油も利用され始めている.本シンポジウムでは,カーボンニュートラルに向けた自動車に要求される潤滑油に関して,基油・添加剤技術,潤滑油の劣化現象,などに焦点をあて,今後の自動車用エンジン油のあり方に関して広く議論する場を提供する.