トライボロジー応用講座 【設計編】/【実験・計測編】

 
■66期の応用講座は,テーマIIIの潤滑剤・境界潤滑編を
2021年11月11日(木)から12日(金)の 2日間連続で行います.
※詳細は別途ご案内いたします.

本講座の特徴

トライボロジーをある程度習得され研究開発や設計実務にトライボロジーを応用したいと思っておられる方,既に実務でトライボロジーを利用してはいるもののさらにレベルアップを図りたい方,あるいはトライボロジーの特定の分野について掘り下げて勉強したい方に適した講座です.
日本トライボロジー学会の入門/入門西日本講座の各単元に対応したテーマについて,当該分野で活躍中の学界あるいは企業の研究者がオリジナルテキストに基づいて丁寧に解説します.それぞれのテーマについて設計編と実験・計測編に分けて開講しますので,ニーズに合わせた受講が可能です.

本講座の構成

テーマI 流体潤滑・弾性流体潤滑

【設計編】
講師:名古屋工業大学 糸魚川 文広 氏

I. 流体潤滑の基礎
 1. 流体潤滑理論
 2. 流体軸受の形式
 3. 弾性流体潤滑の基礎
II. 実用設計に必要な諸理論
 1. 軸受面の表面粗さの影響
 2. なじみと負荷容量
 3. 滑り軸受で支持した回転軸の安定性

本講座は,機械・機器の設計・開発技術者などで,設計の上流から潤滑を考慮して設計する方法の基礎について学びたいとお考えの方,流体潤滑の基礎と応用を系統的に学びたいと考えている方などを対象とします.


【実験・計測編】
講師:九州大学 八木 和行 氏

1. 潤滑面の計測技術
2. 形状の計測技術
3. 力の計測技術
4. 油膜厚さ、故障診断の計測技術
5. 温度と圧力の計測技術

本講座では,流体潤滑や弾性流体潤滑面で起こるさまざまな現象や状態を知るために行われる各種実験方法や計測方法の説明を行います.受講にあたっては,潤滑理論に関する高度な予備知識は必須ではありませんが,潤滑面の実験,計測,モニタリング技術について関心をお持ちの方、実際に実験や計測を検討されている方などを対象とします.

テーマII 摩擦・摩耗

【設計編】
講師:兵庫県立大学 阿保 政義 氏

I. 摩擦・摩耗の基礎
 1. 真実接触面積と塑性指数
 2. 摩擦力の予測式
 3. 摩耗量の予測式
II. 摩擦・摩耗の発展
 1.摩耗形態図(Wear Map)
 2.しゅう動材料の種類.
 3.摩擦・摩耗シミュレーション
 4.表面改質

本講座は,機械・機器の設計・開発技術者などで,設計の上流から摩擦・摩耗を考慮して設計する方法の基礎について学びたいとお考えの方,摩擦・摩耗の現象解明をもう一段掘り下げて深く学びたいと考えている方などを対象とします.


【実験・計測編】
講師:埼玉工業大学 長谷 亜蘭 氏

1. 摩擦・摩耗の基礎事項(復習)
2. 摩擦・摩耗における計測・評価項目
3. 摩擦・摩耗試験と可視化技術
4. 摩擦・摩耗試験におけるノウハウ
5. 摩擦・摩耗のインプロセス計測技術

本講座では,摩擦・摩耗における各種実験・計測における理論や実験・計測ノウハウについて説明に加え,簡単な摩擦・摩耗実験およびAE計測・信号解析の実演を行います. 摩擦・摩耗の実験,計測,モニタリング技術について関心をお持ちの方,実際に実験や計測を検討されている方などを対象とします.

テーマIII 潤滑剤・境界潤滑

【基礎・理論】(設計編に該当)
1. 境界潤滑理論 
   講師:益子 正文 氏

2. 基油の分類とバルク性状向上添加剤の種類と作用機構
 2.1 基油,粘度指数向上剤,流動点降下剤,清浄分散剤  講師:内藤 康司 氏
 2.2 潤滑油の酸化劣化と酸化防止  講師:渡邉 亨 氏

3. 耐荷重添加剤の種類と作用機構  講師:田中 典義 氏

【油種別実用性能】(実験計測編に該当)
4. Mobility系潤滑油
 4.1 自動車用エンジン油  講師:内藤 康司 氏
 4.2 自動車用駆動系油  講師:久保 浩一 氏

5. 工業用潤滑油  講師:久藤 樹 氏

6. 金属加工油 -切削油剤-  講師:小野 肇 氏

7. グリース  講師:森内 勉 氏

本講講座は,潤滑に関する基礎理論から境界潤滑理論ならびに添加剤の作用機構,またこれらの各種潤滑剤の実用性能を基礎から応用まで幅広く説明します. 既に実務でトライボロジーを利用しレベルアップを図りたい方から、これから研究開発や設計実務に応用したいと思われている方などを対象とします.
 

■講師のプロフィール [pdf:1,617.6KB]

受講に必要な予備知識

【設計編】
入門講座/入門西日本講座の単元III受講済み程度.機械系基礎力学の知識があれば望ましい(簡単な物理と数学の知識があれば可)

【実験・計測編】
入門講座/入門西日本講座の単元III受講済み程度.実験計測の知識があれば望ましい

各単元の詳細

テーマI 流体潤滑・弾性流体潤滑

【設計編】
I. 流体潤滑の基礎
 1. 流体潤滑理論
  (1)潤滑油の性質
  (2)Reynolds方程式
  (3)油膜厚さ・負荷容量
 2. 流体軸受の形式
  (1)ジャーナル軸受
  (2)スラスト軸受
  (3)すべり案内面
  (4)潤滑された転がり軸受
 3. 弾性流体潤滑の基礎
  (1)軸受面の弾性変形と油膜形状・油膜圧力
  (2)弾性流体潤滑の潤滑モード
  (3)数値解の解釈

II. 実用設計に必要な諸理論
 1. 軸受面の表面粗さの影響
  (1)膜厚比Λと潤滑モード
  (2)流量係数と修正Reynolds方程式
  (3)解析例とその解釈
 2. なじみと負荷容量
  (1)なじみによる粗さの変化とその影響
  (2)なじみによる形状変化の影響
  (3)潤滑添加剤となじみ - 特に流体潤滑への影響
 3. 滑り軸受で支持した回転軸の安定性
  (1)オイルウィップ
  (2)回転軸の安定
  (3)解析オイルウィップの理論
  (4)オイルウィップの防止法


【実験・計測編】
1. 潤滑面の計測技術
 (1)潤滑面の状態を知るために必要な情報
 (2)潤滑面を模擬した実験
2. 形状の計測技術
 (1)表面粗さの計測技術
 (2)表面形状の計測技術
3. 力の計測技術
 (1)センサの配置方法
 (2)摩擦力の計測技術
4. 油膜厚さ、故障診断の計測技術
 (1)接触電気抵抗法による計測
 (2)静電容量法による計測
 (3)光干渉法による計測
 (4)蛍光法による計測
 (5)AE法による計測
5. 温度と圧力の計測技術
 (1)熱電対による温度計測
 (2)測温抵抗体による圧力および温度計測
 (3)赤外放射温度計による温度計測
 (4)分光法による圧力計測

テーマII 摩擦・摩耗

I. 摩擦・摩耗の基礎
 1. 真実接触面積と塑性指数
  (1)真実接触面積の推定
  (2)Greenwood とWilliamson の塑性指数
  (3)Onions と Archard の塑性指数
 2. 摩擦力の予測式
  (1)摩擦発生メカニズム
  (2)凹凸説
  (3)分子説(凝着説)
  (4)塑性変形抵抗
  (5)硬い突起による軟らかい表面の掘り起こし
  (6)摩擦を減らすには
 3. 摩耗量の予測式
  (1)摩耗メカニズム
  (2)凝着摩耗(Archard モデル)
  (3)凝着摩耗(その他)
  (4)アブレシブ摩耗
  (5)疲労摩耗
  (6)エロージョン
  (7)腐食摩耗
  (8)摩耗を減らすには

II. 摩擦・摩耗の発展
 1. 摩耗形態図(Wear Map)
  (1)鋼のWear Map
  (2)アブレシブ摩耗形態とWear Map
  (3)セラミックスのWear Map
 2. しゅう動材料の種類.
  (1)トライボロジー材料に要求される特性
  (2)鉄鋼材料
  (3)軸受合金
  (4)セラミックス
  (5)プラスチック
  (6)ゴム
  (7)カーボン
 3. 摩擦・摩耗シミュレーション
  (1)連続体的手法(差分法,有限要素法,境界要素法)
  (2)不連続体的手法(分子動力学,離散要素法)
  (3)シミュレーションの長所と短所
 4. 表面改質
  (1)表面改質の意味
  (2)摩擦特性の改善
  (3)摩耗特性の改善
  (4)表面改質法の紹介1(物理蒸着)
  (5)表面改質法の紹介2(化学蒸着)
  (6)表面改質法の紹介3(溶射法)
  (7)表面改質法の紹介4(めっき法)


【実験・計測編】
1. 摩擦・摩耗の基礎事項(復習)
 (1)固体表面と接触
 (2)摩擦・摩耗メカニズム
 (3)摩擦・摩耗の評価パラメータ
 (4)潤滑状態
2. 摩擦・摩耗における計測・評価項目
 (1)摩擦の計測・評価方法
 (2)摩耗の計測・評価方法
3. 摩擦・摩耗試験と可視化技術
 (1)摩擦・摩耗試験の種類・用途
 (2)表面分析・評価技術
 (3)可視化技術と評価事例
4. 摩擦・摩耗試験におけるノウハウ
 (1)摩擦・摩耗試験における注意事項
 (2)摩擦・摩耗試験データの処理・分析
5. 摩擦・摩耗のインプロセス計測技術
 (1)機械の損傷形態
 (2)状態診断技術と診断・評価事例

※簡単な摩擦・摩耗実験およびAE計測・信号解析の実演を予定

テーマIII 潤滑剤・境界潤滑

【基礎・理論】(設計編に該当)
1. 境界潤滑理論(講師:益子 正文 氏)
 1.1 ストライベック線図と潤滑領域
  1.1.1 流体潤滑と境界潤滑
  1.1.2 固体の摩擦の基礎的理解
  1.1.3 境界潤滑機構の基礎的概念
 1.2 実用観点からの境界潤滑
  1.2.1 境界潤滑下における流体潤滑効果
  1.2.2 配向性の無い吸着分子膜による潤滑作用
  1.2.3 基油および摩擦面材質と添加剤の相性
  1.2.4 共存添加剤間相互作用
  1.2.5 使用中の添加剤の変化

2. 基油の分類とバルク性状向上添加剤の種類と作用機構
 2.1 基油,粘度指数向上剤,流動点降下剤,清浄分散剤 (講師:内藤 康司 氏)
  2.1.1 粘度特性と粘度分類
  2.1.2 基油分類と基油の概要
  2.1.3 粘度指数向上剤の作用と構造
  2.1.4 流動点降下剤の作用と構造
  2.1.5 清浄分散剤の種類
 2.2 潤滑油の酸化劣化と酸化防止 (講師:渡邉 亨 氏)
  2.2.1 潤滑油の劣化
   (1)潤滑油の劣化の要因と現象
   (2)潤滑油の劣化プロセス
   (3)潤滑油の劣化と境界潤滑
  2.2.2 酸化防止剤
   (1)酸化防止剤の基本
   (2)酸化防止の種類と作用機構・化学反応
  2.2.3 酸化防止剤の選択
   (1)基油と酸化防止剤
   (2)各種添加剤と酸化防止剤

3. 耐荷重添加剤の種類と作用機構 (講師:田中 典義 氏)
 3.1 添加剤の役割
  3.1.1 摩擦と摩耗
  3.1.2 潤滑の形態
  3.1.3 潤滑油の作用(役割)
  3.1.4 添加剤の種類・機能
 3.2 添加剤の作用機構
  3.2.1 耐荷重添加剤の種類・作用機構
  3.2.2 その他の添加剤の耐荷重添加剤に与える影響
  3.2.3 耐荷重添加剤の応用例(低粘度化と摩擦調整剤の効果)

【油種別実用性能】(実験計測編に該当)
4. Mobility系潤滑油
 4.1 自動車用エンジン油 (講師:内藤 康司 氏)
  4.1.1 エンジン潤滑系とエンジン油の役割と種類
  4.1.2 エンジン油の要求性能と組成
  4.1.3 エンジン油に使用される基油,添加剤と性能
  4.1.4 エンジン油の選定方法
  4.1.5 エンジン油の性能表示と特性評価試験法
  4.1.6 エンジン油による省燃費技術
  4.1.7 エンジン油の劣化の分析方法
 4.2 自動車用駆動系油 (講師:久保 浩一 氏)
  4.2.1 駆動系とは
   (1)変速機の歴史、機能とその種類
  4.2.2 各変速機に使用される潤滑油
   (1)手動変速機及び終減速機(ハイポイドギヤ)と課題
   (2)自動車ギヤ油の規格、使用される添加剤、低粘度化技術
   (3)自動変速機の種類、自動変速機油の規格
   (4)ロックアップクラッチ、湿式クラッチの摩擦特性と添加剤の影響
   (5)金属ベルト式CVTと潤滑油
   (6)自動変速機油の省燃費化のための技術
  4.2.3 自動車用変速機の今後と新しい要求

5. 工業用潤滑油 (講師:久藤 樹 氏)
 5.1 工業用潤滑剤の組成と選定
 5.2 工作機械の特質と潤滑
 5.3 軸受の潤滑
 5.4 摺動面の潤滑
 5.5 歯車の潤滑
 5.6 油圧の潤滑
 5.7 潤滑管理

6. 金属加工油 -切削油剤- (講師:小野 肇 氏)
 6.1 切削油剤とは
 6.2 切削油剤の役割
 6.3 切削油剤の種類と組成
 6.4 切削油剤の作用と効果
 6.5 切削油剤の管理
 6.6 切削油剤の展望

7. グリース (講師:森内 勉 氏)
 7.1 グリースとは
 7.2 グリースの組成(成分)と役割
 7.3 グリースの構造
 7.4 グリースの流動
 7.5 グリース潤滑
 7.6 グリースの選定・使用方法
 7.7 グリースの評価方法