シンポジウムセッション

シンポジウムセッション

 「トライボロジー会議2017春 東京」では,一般講演による通常のセッションのほかに,複数のテーマについてシンポジウムセッションを設け,講演を募ります.下記の各シンポジウムの趣旨をご理解いただき,ふるってご応募・ご参加ください.なお,これらのシンポジウムセッションにおける講演は,一般講演とは異なり,必ずしもオリジナル講演に限定せず,整理された2次情報に基づく講演も受け付けます.講演の申込は,会誌トライボロジストならびに学会ホームページの「トライボロジー会議2017春 東京」の講演申込要領に沿って行ってください.

分類番号 S1 「自動車の走りと燃費を革新する変速機,そして支えるトライボロジー」

オーガナイザー
村田 茂雄: 日産自動車(株)
山本 清成: 日産自動車(株)
黒澤 実: ジヤトコ(株)
村上 靖宏: アフトンケミカル・ジャパン(株)

 従来,自動車の燃費性能や環境性能と言えば,内燃機関の性能向上を中心に語られることが多かったが,今日では変速機の役割や貢献を省いては,それらを語ることができない.手動変速機に始まり,自動変速機も有段,無段と進化し,ハイブリッド化に至っては電気モータとの組み合わせにより,内燃機関とモータの両出力を制御して車輪に伝える機構にまで変化を遂げている.しかしながら,動力の伝達,遮断という変速機本来の機能は,いまだに摩擦を調節する部品,材料に依存しており,変速機はトライボロジー技術の塊という表現は的を得ている.本シンポジウムでは,最近の自動車用変速機の技術動向に関する発表とそれを支えるトライボロジー部品,材料に関する発表を募集して構成したい.また,発表者によるパネル討論も計画したい.

分類番号 S2 「トライボシミュレーションの最前線~分子からマクロへ」

オーガナイザー
鷲津 仁志: 兵庫県立大学
田中 健太郎: 東京海洋大
小野寺 拓: (株)日立製作所
梶田 清司: (株)豊田中央研究所

 これまで摩擦摩耗現象の根源的理解のためにマイクロ・ナノスケールのシミュレーション技術は発展してきたが,近年は,より実用的な解析手段として認知されつつある.本シンポジウムでは,電子状態,分子スケールからマクロスケールまでのシミュレーション手法,その適用事例および関連する実験について,最新動向や研究成果を発表いただき,本領域に興味のある方々を含めた幅広い意見交換を行うことにより,本技術の発展に資する機会としたい.

分類番号 S3 「新規ポリマー添加剤による潤滑剤の性能向上」

オーガナイザー
益子 正文: 東京工業大学
内藤 康司

 潤滑剤に使用されるポリマー添加剤(一般的に,分子量1000以上)としては,粘度指数向上剤,流動点降下剤,増粘剤などが挙げられる.従来,ポリマーの構造としては,線形のポリマーが主として使用されてきたが,近年は合成技術の発達に伴い,星形,櫛形といった非線形のポリマーが開発され,実用化されてきている.さらに,モノマーとして単純な炭化水素系(エチレン,プロピレン,スチレンなど)やエステル系(メタクリル酸エステルなど)に加えて,窒素や酸素などの極性基を有するモノマーの使用や極性基を側鎖に導入する方法により,分散性を付与したタイプ,EHL領域で油膜形成向上効果を有するタイプさらに混合潤滑域で耐摩耗性や低摩擦性を示すタイプなど,粘度特性を改善するにとどまらない多機能型ポリマーの研究開発が盛んである.本シンポジウムでは,これらの新規ポリマーを応用した潤滑剤の性能向上例あるいはポリマー含有潤滑剤に関する基礎研究などの講演を通して,ポリマー含有潤滑剤技術の最新動向と今後の課題について議論を深める場とする.

分類番号 S4 「転がり疲れに関する最近の研究成果と今後の課題」

オーガナイザー
藤田 工: NTN(株)
大滝 亮一: シェフラージャパン(株)
佐田 隆: (株)ジェイテクト

 本シンポジウムでは,転がり疲れに関する基礎的知見と新技術に関する最近の研究成果に加え,転がり疲れ研究の現状と今後の研究課題について発表いただく.転がり疲れは,その現象の理解にトライボロジーの総合的な知見が必要であり,トライボロジーの研究者にとって興味深い研究分野である. また,転動部品を扱う企業の技術者にとっても,技術競争力の源泉となる重要な研究課題である.多岐にわたる転がり疲れの研究分野から多くの方にご参加いただき,転がり疲れに関する多角的な議論の場としてご活用いただきたい.本シンポジウムを,次なる技術課題の設定や,新たな技術・研究者の掘り起こしといった,転がり疲れ研究の活性化に資する機会としたい.

分類番号 S5 「安全と研究倫理」(指名公演のみ、講演募集はありません)

オーガナイザー
近藤 信也: 協同油脂(株)
三田 修三: (株)豊田中央研究所
谷 弘詞: 関西大学

 倫理委員会では,研究倫理・技術倫理に関する情報の展開,教育,啓蒙活動を目的に,過去3回,倫理シンポジウムを開催してきた.4回目となる今回は,「安全と研究倫理・技術倫理について考える」をテーマに,倫理の専門家をお招きしてご講演をいただく.科学技術の進展は,生活の質,利便性,効率を飛躍的に向上させた一方で,安全安心を脅かす事件,事故もを引き起こしている.その原因は単なる不注意ではなく,倫理観の低さや欠如により発生したものも少なくない.研究・開発の現場において,効率だけでなく安全安心が求められる今,安全に対する研究倫理・技術倫理について考えたい.