シンポジウムセッション

シンポジウムセッション

 「トライボロジー会議2018秋 伊勢」では,一般講演による通常のセッションのほかに,複数のテーマについてシンポジウムセッションを設け,講演を募ります.
下記の各シンポジウムの趣旨をご理解いただき,ふるってご応募・ご参加ください.
なお,これらのシンポジウムセッションにおける講演は,一般講演とは異なり,必ずしもオリジナル講演に限定せず,整理された2次情報に基づく講演も受け付けます.
講演の申込は,会誌トライボロジストならびに学会ホームページの「トライボロジー会議2018秋 伊勢」の講演申込要領に沿って行ってください.

※シンポジウムセッション発表者も参加料の支払いが必要となります.

分類番号 S1 「潤滑油の超低粘度化を実現する添加剤・基油・配合技術」

オーガナイザー
益子 正文:東京工業大学
松枝 宏尚:DIC株式会社
内藤 康司

グローバルでの環境負荷低減は人類共通の課題であり,潤滑油に関しても各方面から取組がなされている.
例えば,自動車関連分野に関しては燃費向上に資するために,自動車用潤滑油,特に乗用車用エンジン油や駆動系潤滑油において低粘度潤滑油の開発や低粘度化のための研究が盛んである.エンジン油ではSAEが規定している粘度分類で0W-20から0W-16や0W-8への移行が図られ,ATF,CVTフルード,手動変速機油あるいはディファレンシャルギヤ油などにおいても従来油からのさらなる低粘度化が検討されている.
自動車用潤滑油の低粘度化は流体潤滑域で粘性抵抗の低減により低摩擦になるものの,摺動部位や条件によっては混合潤滑や境界潤滑域が増えることになり,その領域での摩擦・摩耗低減あるいは疲労寿命の向上は大きな課題である.また,エンジン油においては低粘度化による油消費の増加といった課題も挙げられている.
一方,加工油の分野では,油性タイプにおける低粘度化は,加工物付着による持ち出し量が減り,加工油補充が低減できる.また,後工程での洗浄負荷が軽減され,環境負荷軽減につながる.反面,加工油の低粘度化は引火点の低下や油膜の薄膜化による熱劣化の増加が懸念される.
以上のことから,潤滑油の低粘度化に向けて,油膜形成能の向上,摩擦や摩耗を低減することが可能な添加剤・基油の技術検討あるいは低蒸発性で低粘度な熱酸化安定性に優れた基油の開発などが進められている.
本シンポジウムでは,潤滑油全般を対象に低粘度化へ対応する添加剤・基油技術,それらを用いた配合技術検討さらに摩擦・摩耗低減メカニズムの解析事例の講演を通じて,低粘度油実現のための課題を提示し,解決の方向性を議論する場とする.

分類番号 S2 「固体潤滑 ~故きを温ねて新しきを知る~」

オーガナイザー
平田   敦:東京工業大学
竹市  嘉紀:豊橋技術科学大学
野老山 貴行:名古屋大学

固体潤滑研究会発足40周年を記念してから既に数年が経過した.固体潤滑が相当広く用いられていることは疑念の余地はなく,実に様々な固体潤滑剤が研究されている.しかし,「固体潤滑剤」を検索すれば山のような情報が見つかる一方で,「固体潤滑理論」となると実に僅かである.二硫化モリブデンなどは初期から研究の対象となり,実用も進んでいるが,よくよく考えると説明の難しい現象にしばしば突き当たる.今後,更に固体潤滑を優れた技術にしていくためには,今一度,基礎的なデータを積み上げてきたときの知見に立ち返ることも,時として重要と思われる.本シンポジウムでは最新の固体潤滑剤のみならず,既に広く用いられている固体潤滑剤に至るまで,様々な角度から改めて固体潤滑剤について議論したい.

分類番号 S3 「シールにおけるトライボロジー技術」

オーガナイザー
杉村 丈一:九州大学
水田 裕賢:NOK(株)

流体の漏えいを防止し,異物の侵入を遮断するシールは,その密封機能によって機械の安定した稼働を支えるだけではなく,環境保護と省エネルギーにも直接関係する重要な機械要素であり,様々な産業分野で使用されている.例えば,環境問題を背景とした使用物質の制限や排出規制の強化,グローバル化に伴う使用環境の過酷化,エネルギーの多様化や省エネルギー化に伴う密封流体の変化など,産業分野におけるシールの技術課題は様々であり,この解決に向けた技術開発が各分野で行われている.このような技術課題には,接触・摩擦・摩耗といったトライボロジーの基本的な課題が多く含まれている.動的シールでは,密封と潤滑という一見相反する作用を両立させる必要があり,シール特有の難しさがある.また静的シールにおいても,着脱時のしゅう動や,圧力や温度変化による微視的なしゅう動など,トライボロジーが関わる技術課題がある.
本シンポジウムでは,運動用・固定用,あるいは接触式・非接触式など,あらゆるシールに関するトライボロジー技術の検討内容や技術課題を発表いただき,参加者との活発な議論を通じて,シール技術のさらなる発展に貢献することを目的とする.最新の研究成果の発表に限らず,これまでの発表内容の整理や,シールに関わる最近の話題や問題提起など,広く発表を募集いたします.

分類番号 S4 「エロージョンとその応用及びその周辺技術」

オーガナイザー
岩井  善郎:福井大学
宇佐美 初彦:名城大学
宮島  敏郎:富山県立大学

損傷規模の寸法がナノ・マイクロスケールからマクロスケールまでのエロージョンに関する基礎特性をシームレスに捉え,組織構造変化の発生要因や損傷機構を体系的に整理することによって,同現象を種々の材料の新しい特性評価や加工手法に展開できる技術基盤の確立を目的とし,2011年度から会員提案研究会「エロージョンとその応用」として活動してきた. 本シンポジウムセッションでは,本年で8年目を迎える「エロージョンとその応用」研究会での,エロージョンの基礎研究,応用研究,その周辺の評価技術・加工技術についての活発な議論を通し,これからのエロージョンとその応用に対する新しい考えを深める場としたいと考えている.