シンポジウムセッション

シンポジウムセッション

 「トライボロジー会議 2020 秋 別府」では,一般講演による通常のセッションのほかに,複数のテーマについてシンポジウムセッションを設け,講演を募ります.下記の各シンポジウムの趣旨をご理解いただき,奮ってご応募・ご参加ください.なお,これらのシンポジウムセッションにおける講演は,一般講演とは異なり,必ずしもオリジナル講演に限定せず,整理された2次情報に基づく講演も受け付けます.
 講演の申込みは,会誌トライボロジストならびに学会ホームページの「トライボロジー会議 2020 秋 別府」の講演申込要領に沿って行ってください.また,オーガナイザーより講演を依頼された本会非会員の方は,オーガナイザーの指示に従って講演の申込みを行ってください.

分類番号 S1 役に立つ「バイオインスパイアード・ソフトトライボ応用技術」

オーガナイザー
 中村 隆 :名古屋大学
 中野 健 :横浜国立大学
 澤江 義則:九州大学
 山本 浩司:同志社大学

 地球上の生き物が数億年にわたる進化の過程で獲得した機能の中には,人間の生み出したテクノロジーを遥かに凌駕するものが多数存在する.本シンポジウムでは,生物の中に潜む高度な機能を解説するとともに,新たな機構やソフトマテリアルを用い,トライボロジー技術へと応用する可能性について議論を深める.単に学術的な興味ではなく,科学技術として役に立つものへ進展することを中心に据えて,自由な発想での討論を期待する.

分類番号 S2 工作機械のトライボロジー

オーガナイザー
 野口 昭治 :東京理科大学
 若園 賀生 :株式会社ジェイテクト
 糸魚川 文広:名古屋工業大学
 若林 利明 :香川大学

 工作機械産業は,日本の製造業が今後も世界をリードしていくために重要な役割を担っている.この工作機械を支える各種技術の中で,加工機の主軸や案内面に係わる技術や潤滑剤,加工油,各種加工法等の技術ではトライボロジーが重要な役割を果たしている.本シンポジウムでは、主軸や案内面や軸受,潤滑や加工油剤,切削や研削加工技術,工具技術等のトライボロジーに関する講演をしていただき、多様な観点から議論を深めていただくことを目的とする.

分類番号 S3 境界潤滑添加剤最前線 −摩擦調整剤,摩耗・焼付き防止剤の最新技術と応用

オーガナイザー
 産学協同研究会 添加剤技術研究会
 益子 正文:東京工業大学
 光井 秀明:アフトンケミカル・ジャパン株式会社
 内藤 康司


 地球温暖化防止のためのCO2排出量削減は喫緊の課題であり,自動車を初めとして各種機械類の精度,効率向上に貢献する潤滑油への期待は大きい.効率向上の一方策として機械類の摩擦を下げるために潤滑油の低粘度化が有効である.しかし,潤滑油の低粘度化は流体潤滑域で粘性抵抗の低減により低摩擦になるものの,摺動部位や条件によっては混合潤滑や境界潤滑域が増えることになり,その領域での摩擦・摩耗低減あるいは疲労寿命の向上は大きな課題となっている.
 混合潤滑,境界潤滑域でのトライボロジー特性向上に寄与する添加剤として摩擦調整剤,摩耗・焼付き防止剤があり,リン系添加剤,硫黄系添加剤,有機金属添加剤,有機摩擦調整剤,ポリマー型油膜形成剤,ナノ粒子添加剤など多くの添加剤が開発,実用化されてきている.また最近では,摺動材料として金属系材料にDLC等の硬質膜処理した材料が実用化され,それらと金属系材料あるいは硬質膜同士の摩擦で,境界潤滑添加剤の効果を確認した研究例も増えてきている.
 本シンポジウムでは,自動車用,設備用,加工用など油種は問わず潤滑油全般を対象に,摩擦調整剤,摩耗・焼付き防止剤などの境界潤滑添加剤について,摩擦,摩耗の作用機構を追求する研究事例から実際の潤滑油での実用性能の確認に至る幅広い分野での講演を通じて,最新の境界潤滑添加剤技術について学び,議論する場とする.

分類番号 S4 転がり疲れに関する最近の成果と今後の課題

オーガナイザー
 植田 光司:日本精工株式会社

 転がり疲れは,機械の信頼性に大きく影響を及ぼし,長年に渡ってエンジニアの重要関心事である.また,材料技術の進化や新たな潤滑剤の出現など,使用環境の変化の影響を受けるとともに,分析・評価技術の高度化により,現在も新しい知見が生み出されたり,課題がみつかっている分野である.そこで,「転がり疲れ研究会」と「転がり軸受寿命研究会」共催で本シンポジウムを開催し,最近の成果と今後の課題について討論を行う.

 
[秋別府では中止となりました]

分類番号 S5 シールにおけるトライボロジー技術

オーガナイザー
 落合 成行 :東海大学
 田畠 一二三:株式会社IHI
 水田 裕賢 :NOK株式会社

 流体の漏えいを防止し,異物の侵入を遮断するシールは,その密封機能によって機械の安定した稼働を支えるだけではなく,環境保護と省エネルギーにも直接関係する重要な機械要素であり,様々な産業分野で使用されている.例えば,環境問題を背景とした使用物質の制限や排出規制の強化,グローバル化に伴う使用環境の過酷化,エネルギーの多様化や省エネルギー化に伴う密封流体の変化など,産業分野におけるシールの技術課題は様々であり,この解決に向けた技術開発が各分野で行われている.このような技術課題には,接触・摩擦・摩耗といったトライボロジーの基本的な課題が多く含まれている.動的シールでは,密封と潤滑という一見相反する作用を両立させる必要があり,シール特有の難しさがある.また静的シールにおいても,着脱時のしゅう動や,圧力や温度変化による微視的なしゅう動など,トライボロジーが関わる技術課題がある.
 本シンポジウムでは,運動用・固定用,あるいは接触式・非接触式など,あらゆるシールに関するトライボロジー技術の検討内容や技術課題を発表いただき,参加者との活発な議論を通じて,シール技術のさらなる発展に貢献することを目的とする.最新の研究成果に限らず,これまでの発表内容の整理や,シールに関わる最近の話題や問題提起など,広く発表を募集する.

分類番号 S6 トライボロジーの啓発と次世代教育について考える

オーガナイザー
 松山 博樹:株式会社ジェイテクト
 齋藤 吉之:株式会社IHI検査計測


 トライボロジーは私たちの暮らしと産業社会を支える重要な基盤技術であるにもかかわらず ,世の中の認知度は極めて低く,興味や関心をもつ人は少ない.トライボロジー を持続的に発展させるためには,次代を担う小中高生にトライボロジーという学問の面白さと重要性を知ってもらい,将来のトライボロジー分野で活躍する研究者・技術者の増加につなげなければならない.本シンポジウムでは,トライボロジーの啓発と次世代教育の有り方について考え,現在本会が行っているトライボロジー啓発・次世代教育活動について報告,討議する.

分類番号 S7 3rd Japan-Korea Tribology Symposium

オーガナイザー
 Noritsugu Umehara :Nagoya University
 Junho Choi :The University of Tokyo
 Dae-Eun Kim :Yonsei University
 Koo-Hyun Chung :University of Ulsan

 日本と韓国間のトライボロジー分野における情報交換と交流の場を,トライボロジー会議2020秋別府のシンポジウムセッションに設け,両国間の技術交流,人的交流および共同研究の基礎を築くことを目的とする.両国で活躍中のトライボロジー研究者が参集し,互いの最新の研究内容を紹介することで研究交流の促進を図る.

分類番号 S8 添加剤としてのフラーレンの可能性

オーガナイザー
 宇佐美初彦 :名城大学
 近藤 邦夫 :昭和電工株式会社
 伊藤伸太郎 :名古屋大学

 フラーレンは,2002年の量産化技術の確立化以来,潤滑添加剤としての適用が検討されてきた.近年,フラーレンの配合技術が開発され,潤滑油剤の吸着向上に寄与することが明らかになりつつある.本シンポジウムでは,フラーレン油剤の摩擦摩耗低減効果に関して種々の接触形態での研究成果に関する講演を通して,多様な観点から議論を深めていただくことを目的とする.