会長メッセージ

一般社団法人日本トライボロジー学会 第65期会長

杉村 丈一 (九州大学)

 新年あけましておめでとうございます.

 コロナ禍で例年とは異なる正月を迎えられた方も多くいらっしゃると思います.2020年はCOVID-19で世界中が多くの困難に見舞われ,これから収束に向かうのか,さらに悪化していくのか,誰も予測できないまま2021年が始まりました.

 昨年の出来事は,世の中の価値観を根底から変えてしまったとすら思えるものでした.連日報道される逼迫した医療現場,経済活動の鈍化,失職者の増加などを尻目に,勢いづいた分野もありました.ほとんどすべての人が影響を受けるなか,教育研究機関は最低限の活動を何とか維持できましたが,それはインターネットに負うところが大きかったと言えます.もしインターネットと通信ソフトウエアがなかったら,ほぼすべての活動は停止せざるを得ませんでした.オンライン講義やウェブ会議には欠点もたくさんあるものの,一次情報を伝える点では遜色はありません.少なくとも聴く側にとっては,移動の手間や時間なしに情報を確実に入手できる点で,オンラインのほうがむしろ都合がよいことに多くの人が気づきました.

 秋のトライボロジー会議では,楽しみにしていた別府の地を味わうことはできませんでしたが,おかげさまで会はスムースに進行し,盛会のうちに終了することができました.トライボロジー会議以外でも,学会のさまざまな活動はオンラインで行われています.慣れない手段を活用し,活動を続けてくださっている皆様に感謝申し上げます.一方で,オンラインではできないコミュニケーション,対面でなければ伝えることができないことも沢山あることが,改めて浮き彫りになりました.今後,コロナが収束したあとも,オンラインの方法は活用されていくことになると思いますが,対面の重要性を忘れてはいけないと思います.

 ところで,同じことが別の時代に起こっていたら,どうなっていたでしょうか.インターネットが登場する前,例えば80年代前半に,電子メールはまだ普及しておらず,主要な通信手段は電話とファックスでした.移動禁止ともなればさまざまな活動は停止し,紙と鉛筆を使った活動しかできなかったでしょう.学会活動も書類による連絡だけで,人が集まる会議,集会はすべて中止だったでしょう.それに比べれば今は,国内でも海外でも移動せずに複数の人と会うことができます.電子情報技術にこのような形で救われることになるとは,思ってもいませんでした.

 ほぼ百年前に世界を揺るがしたスペイン風邪では,日本でも人口の半分弱の人が感染し,数十万人が亡くなったそうです.収束までに数年かかったようですが,とにかく収束しました.医学的なことはわかりませんが,当時の報道をみるかぎり,いまと同じように,人の接触を減らす,マスク,消毒など基本的な対策がなされたようです.

 過去のパンデミックでも,人類はその時代その時代の新技術を駆使して乗りきってきたのでしょう.今日,日常の行動様式が変わるなか,情報伝達のスピードは増し,世界の動きはますます加速しているように思います.我々もコロナ禍が過ぎ去るのを待つのではなく,前進することが大切なのだと思います.ボーッとしてはいられません.

 2021年は新型コロナウィルスを克服し,その中から新しいものが生まれ,希望に満ちた年になるとよいですね.みなさまの2021年がすばらしい年になりますよう,心よりお祈り申し上げます.
 

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