会長メッセージ

一般社団法人日本トライボロジー学会 第65期会長

杉村 丈一 (九州大学)

 65期に続き会長を務めさせていただくことになりました.

 昨年度は,あらゆる面でCOVID-19に振り回された一年でした.本会においても,会員の皆様の安全を第一とし,トライボロジー会議ほか講習会,研究会,委員会などの会合をオンライン形式で行いました.最初はウェブ会議システムに恐る恐る入る感じでしたが,この一年でだいぶ慣れ,オンライン形式は日常の方法として定着しました.65期の役員や各種委員会委員の皆様には,この異例の状況のなか,献身的に委員会業務にあたってくださったことに心より御礼申し上げます.

 さて,COVID-19の影響を受ける一方,社会は大きな転換期を迎えています.とりわけ,昨年10月臨時国会での菅総理による「2050年カーボンニュートラル」の宣言を契機として,多くの産業分野は脱炭素社会の実現に向けて本格的に動き始めています.この動きは日本だけではなく,地球全体の流れです.

 しかしその流れのなかで,政府や国際機関のロードマップにトライボロジーが現れることはなく,カーボンニュートラルにおけるトライボロジーの認知度は残念ながら低いと言わざるをえません.元来トライボロジーは,カーボンニュートラルやグリーンなどの新しい言葉の登場よりもずっと前から,省エネルギーと環境保護に貢献してきました.トライボロジーの裏方的な立場は否めませんが,いま世の中により広く認識していただくチャンスではないかと思っています.産業界においても,大学においても,カーボンニュートラルにつながる課題はたくさんあり,そのことを各方面の方々に知っていただく必要があります.本会では過去にトライボロジーが関わる産業分野の俯瞰や,自動車の燃費向上におけるトライボロジーの寄与の調査を行いましたが,様々な応用場面に展開するトライボロジー技術の貢献を,改めてどのような形で社会にアピールしていけばよいでしょうか.

 本会の運営方針は,「会員サービスの充実による会員メリットの向上」,「世界における日本のトライボロジーのプレゼンス向上」,「学会運営の効率化と財政の健全化」です.これまでの活動の積み重ねとして,65期には会誌の発行やトライボロジー会議のオンライン開催に加えて,新たな教育講習プログラムの実施,ホームページや会員メールによる情報提供と広報活動,学生会員の会費無料化,次世代教育への取組みなどを行いました.海外でも会議が軒並み中止かオンライン方式に変更されたため,足を運び直接人と話すことはできませんでしたが,オンライン会議や出版物を通じて国際活動を続けました.今年も残念ながらリヨンでのWTCが延期になりましたが,上記方針に従って諸活動を推進するとともに,広報活動の対象をさらに広げ,社会,若手技術者,若年層へ向けて,トライボロジーをアピールしていきたいと考えています.

 トライボロジーは様々な専門の人たちが同じ課題に取り組む分野であり,相互協力を通じて横のつながりを築いてきました.また,技術と学術の両立が不可欠であり,人と人との信頼関係が重要です.このような人のつながりの面でオンライン方式は決定的に不利ですが,このようなときこそ,その有効な活用方法を追求し,一年間控えていた交流の機会を多く作っていきたいと思っています.

 日本のトライボロジストと本会が近未来に新たな波に乗っているように,理事会,事務局,各種委員会委員の皆様と力を合わせて,目に見える一歩を刻むべく運営にあたっていきます.会員の皆様におかれましても,今年度中にはコロナを克服して体制を立て直し,前進してください.積極的に学会活動に参加してください.トライボロジストやTribology Onlineへの投稿も歓迎です.

 COVID-19の早期の終息を願うとともに,会員の皆さまのご支援とご協力をよろしくお願いいたします.
 

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