会長メッセージ

一般社団法人日本トライボロジー学会 第69期会長

江上 正樹

 第69期会長就任にあたり,ご挨拶申し上げます.

 理事会でお世話になるのは今回が7期目,前回は第64,65期に副会長を務めさせていただきました.2019年に仙台で開催されたITCは大盛会で,研究発表で活発な議論が展開されたのはもちろんのこと,STLE幹部と当学会幹部の国際連携に関する会合,トライボロジー関連7誌の編集長によるパネル討論会,海外学会とのコラボ企画など,国際会議にふさわしい内容が盛りだくさんで,わくわく感のある充実した会議であったと記憶しています.ところが年が明けて一転,2020年春は新型コロナウイルス感染が広まり,同年5月開催のトライボロジー会議をどのように開催するのか,理事会での侃々諤々の議論の末に中止となったのは,皆様もご存じのとおりです.その時に苦渋の決断を下した各理事の悔しさの滲んだ顔を今でも忘れることができません.

 その後,感染拡大の波が押し寄せる中,オンライン開催,ハイブリッド開催など様々な工夫を凝らしながら,トライボロジー会議,教育講習活動など,絶えることなく学会活動を継続してこられた歴代幹部や理事,および会員の皆様の熱意,情熱には本当に頭が下がる思いで,心から敬意を表します.この度,このような熱心な会員で構成される日本トライボロジー学会の会長に就任させていただくこと,まことに光栄で,身の引き締まる思いです.

 現在の当学会の主な課題は,(1)会員サービスの充実による会員メリットの向上,(2)世界における日本のトライボロジーのプレゼンス向上,(3)学会運営の効率化と財政の健全化の三つであると伺っています.環境変化に合わせた見直しを加えながら,これら三つの課題に対して短期,中長期それぞれの視点から対処計画を立てて,それらを確実に実行していくことが重要と考えます.理事会,学会事務局の皆様と力を合わせて課題解決に取り組んでまいる所存ですので,ご支援,ご鞭撻を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます.

 さて,当学会の目的はトライボロジーに関する理論の進歩および技術の向上に寄与することですが,世の中はグローバルに大きく変化しています.環境や気候の変動,地政学的な安全保障も含めたエネルギーや資源の課題など,地球規模の社会問題が顕在化しています.特に近年ではサステナビリティ実現のためのカーボンニュートラル(以下,CN)が大きな課題となっており,企業では2030~35年のスコープ1,2を中心としたCO2排出量の削減,2050年のスコープ3まで含めたCNの達成を目標に掲げておられるところが多いのではないでしょうか.エネルギー源の転換がCNのメインストリームとはいえ,機械装置のフリクションロス低減や寿命延伸,信頼性向上など,トライボロジストが持てる力を発揮できる領域にもっと追風が吹いてしかるべきと思います.昨年度に学会指定研究会として立ち上げられた「CNに寄与するトライボロジー技術研究会」の活動も含めて,CN推進のためのトライボロジー視点での戦略策定や,トライボロジストの背中を押し,応援する提言などに取り組むことができればよいのではないかと考えております.

 最後になりますが,本年度は沖縄で秋のトライボロジー会議が開催されます.地区によっては遠方となる方もいらっしゃると思いますが,めったにない機会です.産官学から大勢の方に参加いただき,沖縄の地でトライボロジーの活性化につながる熱い議論を盛り上げていただきたく思います.ご参加のほど何卒よろしくお願い申し上げます.
 

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