キャリアインタビュー 村島 基之

摩擦をコントロールする!


村島 基之(むらしま もとゆき)
東北大学 大学院工学研究科 機械機能創成専攻 准教授
 
 略歴
博士(工学).名古屋大学工学部機械・航空工学科を卒業後,同大学大学院工学研究科機械理工学専攻にて博士前期課程を修了.日本ガイシ株式会社に入社し,HPC事業部にて設計業務に従事.その後,名古屋大学大学院工学研究科博士後期課程に進学し,学位取得後は同研究科マイクロ・ナノ機械理工学専攻の助教を経て現職.
 
 どんな子どもだった?
外遊びが大好きだった子供時代.中学・高校では宇宙や新幹線に興味が広がり,テレビのドキュメンタリー番組で技術者の活躍を見て「いろいろな分野に関わりたい」と思うように.
 
 の分野に出会ったきっかけは?
大学で研究室選びです.トライボロジーは摩擦・摩耗・潤滑を扱い,どんな機械にも関わる技術だと知り,「いろいろな分野に関われる」と感じてこの道を選びました.
 
 学生時代の研究──エンジンの“見えない変化”を追う
大学では,車のエンジンオイルに含まれる「すす」が,コーティングのすり減り方にどんな影響を与えるのかを研究しました.すすはとても小さく目に見えませんが,エンジンを長く使うためには重要な存在です. 「見えない世界で何が起きているのか」を探る研究に,夢中になっていきました.
 
 研究の面白さ──知識を組み合わせて“謎”を解く
研究の魅力は,さまざまな知識を組み合わせて現象を読み解くところにあります. まるでパズルを解くように,少しずつ答えに近づいていく過程がとても楽しいと感じています.
 
 現在の研究──摩擦を“操る”技術を目指して
今取り組んでいるのは,機械の表面をこすったときにどのように動くのかを調べたり,摩擦を小さくする方法を探したりする研究です.さらに,摩擦をうまく調整して機械の動きや安定性を最適化する仕組みの開発にも挑戦しています.
 
 研究の具体例
● かたい表面でも“氷の上のスケート”のように動かす
 一見かたい表面どうしでも,氷の上をすべるようになめらかに動く状態をつくる研究を進めています.
● 小さなロボットが環境に合わせて動くための摩擦調整
 ドローンや昆虫サイズのロボットが,周囲の状況に合わせてスムーズに動けるように,摩擦をコントロールする技術にも挑戦しています.
● エンジンオイルや微生物の力を活かす
 エンジンオイルに含まれる成分の働きを調べたり,微生物が作る物質を使って機械をよりよく動かす新しい方法を探ったりと,研究の幅は広がり続けています.
 
 日常にもひそむ“摩擦”の世界
子どものころは意識していませんでしたが,卓球で回転をかけたり,弓道で滑り止めを使ったりと,実は身近なところで摩擦を使っていました. 「摩擦」は生活のあらゆる場面に関わっているのです.
 
 研究が社会に役立つ瞬間
仕事の中で,困っているエンジニアにヒントを伝え,「助かりました」と感謝されることがあります. そんなとき,自分の研究が誰かの役に立っていると実感します.
 
 興味を広げるには?──身近な実験から始めよう
摩擦や汚れのしくみは,身近なことで楽しく学べます.
 自転車に油をさしてみる
 洗剤の種類で汚れの落ち方を比べる
こうした小さな体験が,科学への興味を大きく育ててくれます.
 
 中高生へのメッセージ
自分が夢中になれるものを見つけて,とことん追いかけてください. そして,それが人の生活を良くすることにつながる方法を考えられたら,きっととても楽しい人生になります.